Home > 廃レポ > 上山兄弟組硅石粘土採掘場貯蔵庫(冷水の煉瓦アーチ)
改めてkousen様のサイトを確認したところ、 「後日に大体の場所が解りましたm(__)m 冷水浦の近くです。」 すげすげすげヴォー!! 「煉瓦アーチ」はこちらにあることが判明!! ...しかしアプローチする道が見当たらない様な... |
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ひとまず最寄りの冷水交差点にやって参りました。 海側を覗き込みますが、なかなかアプローチ出来そうな箇所が見当たりません。 (一か所のみ、コンクリ足場の怪しい場所がありましたが、 斜面をアクロバティックな方法で下ることとなりそうですので、後回しです...) 藤白隧道方向へ進むと... |
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!? 明らかに「それ」と思わせる構造物が見えております! しかし、煉瓦ではありません。 左奥に煉瓦のアーチがあるのでしょうか。 [マウスオーバーで赤丸をつけます] |
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更に進むと階段が! |
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これはもう煉瓦GET確実!! (左手には国道42号を潜る水路がありますが、未確認です。) |
まずはこのコンクリさんを観察します。 ...これは桟橋跡でしょうか?(にしては巨大です) |
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幅はそれ程ありません。 頑張れは登ることが出来ると思いますが頑張りません。 |
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後ろを振り向くと煉瓦アーチが...! ありません。 ...中には誰もいませんよ。 |
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そんなことは無い筈と探し回ると、煉瓦の「破片」を発見しました。 その上部には転落防止用と思われる柵が見えます。 ただ、アーチは見当たりません。 能々地図を見直すと、現在地は煉瓦アーチ推定地とは少々異なることに気付き、 更に西進します。 [マウスオーバーで拡大します] |
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いきなり目の前に現れた構造物さん。 これ、どう見てもレールですよね!? 何故?何故?しかも一部のみ残存しており、どことも接続していません。 [マウスオーバーで拡大します] |
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少し進むとまたもやレールが。 現役当時は接続していたのでしょうか? |
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現在までに発見した構造物の位置関係は写真の様になります。 レールの続く先が気になりますが、まずは煉瓦アーチと思い、更に西進します。 [マウスオーバーで説明を非表示にします] |
海岸には煉瓦が散乱しており、期待は高まる一方です。 ふと茂みが気になり見上げると... |
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!? | |
!? | |
...小倉井水路橋(仮)以来の衝撃です。 興奮の余り暴走仕兼ねない為、一旦距離を置きます。 こうしてみると予想より大きな遺構です。 一体何なのでしょうか... [マウスオーバーで説明を非表示にします] |
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改めまして、再度接近。 先程ちらりと見えた構造物手前にも煉瓦があるようです。 |
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煉瓦さんとコンクリさんの間にトラロープが見えます。 これを使って登れと... そんなお心遣いご無用ですよ... [マウスオーバーで拡大します] |
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このコンクリさん、先程見たあるものと関連有る様に思えます。 | |
拡大するとこの通り。 明らかに接続していた跡があります。 マピオン地図に描かれている直線はこの構造物のことでしょう。 [マウスオーバーで「あるもの」を表示します] |
煉瓦構造にアプローチする良い方法はないかと考えていますと、 丁度良い具合に足場がありましたので、此方を利用します。 |
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カメラ片手に登ってますと、何やら見えてきました... | |
煉瓦壁と梯子があります。 | |
もしやと思い見上げると... | |
国道42号線が見えます。 地元の方々が海岸へ降りる為に利用しているのでしょう。 |
脱出路が確保出来たところで、 煉瓦を愛でることにしましょう。 白飛びしていますが、正面は海となっており... [マウスオーバーで視点を変えます] |
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下を覗き込むと、 海岸から観察出来た煉瓦壁、そして穴らしきものが見えます。 |
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一度梯子の位置まで戻り、階下にアプローチします。 | |
木々を掻い潜ると... | |
キタ━(゚∀゚)━! |
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これが噂の「冷水の煉瓦アーチ」に違いありません!! 随所に亀裂は見られますが、大規模な崩落は発生していない様で何よりです。 |
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煉瓦アーチ近くにはこんなものや... | |
こんなものまで。 無識ですので、専門家の方にお任せします。 |
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巻厚は4層で、アーチ環上にはこれまた謎の形跡があります。 |
内部は数メートルで閉塞しています。 | |
よく分からないもの、その3です。 探索時はレールではないかと思いましたが、写真で見ると...? 奥部で片手が折れ曲がっています。 |
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穴が開いているのでしょうか? 階上までは貫通していないと思います。 |
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アーチ周辺の装飾も見事ですねぇ。 梯子近くにもあった、階段状に配された煉瓦がお気に入りです。 [マウスオーバーで視点を変えます] |
待望の煉瓦アーチの横には...なんとコンクリアーチ...!! | |
内部は煉瓦アーチよりも広く、穴も幾つか観察出来ます。 | |
コンクリの隣には...また煉瓦アーチ!! ただ、その半分はコンクリに侵食されているように見えます。 |
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コンクリアーチの前には、桟橋接続部?と、 何方かが寛いだ跡があります。 これより先の藪は現在の装備では進めない為迂回します。 |
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レール地点まで戻って参りました。 崩落している為、注意しつつ登ります。 |
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レールの始点は此処の様です。 | |
先に発見した桟橋跡?方向へ伸びる道があります! 傍らにあるのはウインチでしょうか? [マウスオーバーで拡大します] |
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道は一先ず後に回し、反対方向にある煉瓦構造物へと向かいます。 (写真では石垣+煉瓦が既に見えていますね) |
圧巻。 |
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...言葉も出ません。 暫くシャッターも切らず唯々感嘆の吐息を漏らしていました。 |
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悔しいことに、藪の為これ以上の前進は叶いません。 冬季に再訪するか、「掃除」する必要があります。 |
再訪を誓った後、先程の道へ向かいます。 | |
転落防止用の柵も完備!! | |
一見何の変哲もない階段の様です、実は煉瓦が紛れ込んでいます。
[マウスオーバーで拡大します] |
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大阪窯業の刻印ですね。 煉瓦構造物の方も同様でしょうか。 |
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桟橋跡?が見えます。 | |
国道42号線近くに出てきました。 | |
コンクリ構造物がありますが、ここでは深入りせず撤退します。 |
煉瓦構造物の全景を収めようとしますが...藪ですね。 | |
例の道より退却。 平行して煉瓦も付いてきてくれます。 |
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国道42号線に復帰、 和歌山県立図書館へと向かいました。 |
「新興産業都市海南市 鳥瞰図」より引用 |
「新興産業都市海南市 鳥瞰図」より、ある名前が浮上。 「上山鑛業所」 |
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「内海町郷土誌」より引用 |
また、「内海町郷土誌」 (1934年の海南市制施行以前の冷水地区は内海町)より 「上山兄弟組硅石粘土採掘場」 なる項目を発見。 |
「内海町郷土誌」より引用 |
有り難いことに、写真が掲載されていました。 煉瓦構造物(らしきもの)と桟橋(らしきもの)が確認出来ます。 |
この地が上山鉱業所跡地であるとすると、 「上山鉱業所貯蔵庫」=「冷水の煉瓦アーチ」 となります。 この貯蔵庫から船へと運搬する為の桟橋自体は現存しませんが、 その接続部と疑われるものは如上の通りです。 |
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かつて大阪窯業関連企業であったことと、階段に残る大阪窯業の刻印は結びつけることが出来るでしょう。 (勿論、その生産数から偶然の一致と捉えることも出来ます。) |
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電話番号簿にて「上山鉱業所」を確認すると、昭和49年まで「冷水147」として掲載されていましたが、 それを境に暫く確認出来なくなり、昭和53年~59年までは「冷水1056」として再び掲載、 以後未確認となります。 少なくとも、昭和59年までは鉱業所自体は存在した様ですが、 冷水の煉瓦アーチ、貯蔵庫(電柱によると冷水31)がこの頃も使用されていたかどうかは不明です。 [時間制約上、電話番号簿は杜撰な確認となっています--;] |
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以上のことを踏まえたり踏まえなかったりし、 「上山兄弟組硅石粘土採掘場貯蔵庫」と題してこのページを公開するに至った次第ですが、 素人の杜撰な調査ですので、見当違いなことを書いているに違いありません。 誤った記述を見つけられた方や、新情報をお持ちの方は是非お知らせ下さいm(__)m |
潮位は予め調べよう!! |
後日、kousen様と偶然お会いすることが出来、お蔭様で新たな発見が多数ありました。 まず、煉瓦アーチ上部の穴内部です。 貫通はやはり無い様で、後に埋められた様に思います。 |
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大阪窯業の刻印があった煉瓦階段より海側を覗き込むと、「BIZ」の刻印がある煉瓦がありました。 kousen様曰く「BIZEN」ではなかとのこと。 調べてみると、佐島製錬所(明治26年)跡にも同様の刻印があるようです。(愛媛県の近代化遺産より) |
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自分が訪問した際は詳しく観察しなかったコンクリ構造物も案内して頂きました。 | |
一部には煉瓦が見られました。 | |
ウインチのすぐ近くには碍子がありました。 | |
上山鉱業所(昭和後半の冷水1056時代)へのアクセスはこちらからのようですが、 今回は深入りしませんでした。 kousen様の記事には、 この車止めの先の様子や、煉瓦半アーチ内部、詳細な地図などが掲載されていますので、是非是非どうぞ。 |