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鹿瀬洞 ~第二回水無月探索~

これは水無月に決行されました廃道/(廃)隧道/廃線探索の詰め合わせです。
訪問した主な構造物は以下の通りです。
  1. 旧鰈川隧道
  2. 瀧原洞
  3. 鹿瀬洞
  4. ???
  5. ???
本レポートは、上記5つの構造物に関するページより構成されています。
このページでは鹿瀬洞について紹介します。
この区間はiPhoneの画面を見ずに撮影を行っているため、
あまり良い写真がありません。ご了承くださいませ。

概要
鹿瀬洞(鹿ヶ瀬隧道)は、和歌山県道176号線(井関御坊線)の広川町-日高町間にある、
1906年(明治39年) *1 竣工の煉瓦積み+石積み+素掘り(モルタル補修)の三拍子が揃った隧道です。

この鹿瀬洞の由来は、なんと旧鰈川隧道でも登場した、
1879年(明治12年)の熊野街道の県道指定まで遡ることになります。
その当時の熊野街道(現在の熊野古道)の有田-日高間にある鹿ヶ瀬峠(注意:鹿瀬洞があるのは原坂峠)は、
急勾配であった為、人や牛馬の往来が困難でした。

そこで、鹿ヶ瀬峠を迂回し、水越峠を経由する由良回りの道を新設し、付け替えることにしました。
あの有名な由良洞があるのはこの時の新道で、1889年(明治22年)に隧道、新道共に完成しました。
(この経路や由良洞については後々のレポートにて。)

しかし、この由良回り新道、先述の水越峠と由良洞周辺の山腹二箇所に、長距離に亘る急斜面がある為、
地元民は兎も角、通過する人々にとっては苦しい遠回りの道となってしまいました。
そして、由良回り新道は、開通からわずか二十余年後に、津木回り新道に取って替わられました、

今回訪問した鹿瀬洞(鹿ヶ瀬隧道)は、この津木回り新道にある原坂峠を貫くものです。
 
*1 御坊市史編さん委員会 御坊市史 第二巻 通史編Ⅱには
明治四一 鹿ヶ瀬墜道開通
とありますが、この隧道を手掛けた小池組様には
鹿ヶ瀬隧道 明治39年施工
とあることから、1906年(明治39年)を竣工年度として採用しました。

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瀧原洞から、県道21号線との合流地点を目指します。
この三叉路で左折すると、あらぬ方向へ行ってしまうので気を付けなければなりませんね。
...等とフラグを回収した結果こうなりました^^;
写真は引き返し、再度三叉路に到着したところです。
農地へ架かる橋
へきさ 上木津の交差点を(今度こそは)左折すると、他路線とは重複しない、
県道176号線のみの路線となります。

いきなりの狭路はご愛嬌!!

[マウスオーバーでヘキサに切り替えます]
農地へ架かる橋

(何だか如何わしいゲームっぽい)。
いつかは無想吊橋 *1 や、六厩川橋 *2 を攻略せんとする自分に対する試練か!!!
等と妄想しつつ先を急ぎます。

追記:実際に六厩川橋を目指してみました!!(こちら)


ぁゃιぃ通行止めの道発見。
が、すぐに県道に合流する道のようでスルーしました。
新鹿ヶ瀬トンネル/鹿瀬洞分岐 この先
旧トンネル
通行できません

                広川町


遂に新旧道の岐路に到着しました!

[マウスオーバーで拡大します]
鹿瀬洞前バリケード 旧道に入り少し進むと、何やら向こう側に見えてきた様な?
A型バリケードを超えると...

[マウスオーバーで拡大します]
本日二度目の閉鎖トンネル
                |/ /       |               ∨ヘ.      ト、 \_
                   /     /  /  l:     /  l           ∨i    、   |  ̄
                l│  /  イ  ,イ.    l  ト、ヽ     / | :l :|   |  l
  ┏┓  ┏━━┓      | |   l_メ、」_,;./l     L  l V   ∧ /  :|/   ハ.  ト、      ┏━┓
┏┛┗┓┃┏┓┃      | ト.  |.____ ヽ    l´ヽ{ _⊥イ イ /   /    / l/⌒ヽ    ┃  ┃
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                          `>-r  =ニi´、.,_`::: |:| { |:::l
坑門は、アーチ以外はすべて石積みのようです。
この組み合わせ、今まで見てきた絶対数が少ないこともあるでしょうが、
なかなか珍しく感じられます。

笠石、帯石、扁額、要石、そしてピラスター...その豪華な組み合わせに、
当時の意気込みを感じます。
洞 瀬 鹿
見事なピラスター。
が、新宮鉄道(旧紀勢中線)の旧稲荷山トンネルの様に絶えず水が流れ落ちているため、
接近し辛いです。
フェンスの間から洞内を観察してみます。
内部の煉瓦アーチは短く、すぐに素掘り(モルタル補修)へ変わるようです。
白線のため、狭く感じられますが、幅は4mあり、大型車でも通行が可能だったと思われます。
アーチを見上げて。
今度こそ空を見上げて
フェンスが残念ですが、見事なアーチを確認できるかと思います。
広川町方坑口前からの振り返りです。
バリケードから隧道に掛けて水たまりが多いのでご注意を。
少し離れてぱちり。
さて、次は日高町方坑口を目指します!!
新ジャンル 新鹿ヶ瀬トンネルです。
特筆すべきところはなさそう...と思いきや、
この扁額、何だかとても可愛らしく感じられる書体を用いて書かれています。
新ジャンルの予感!!

[マウスオーバーで拡大します]
現在は国道42号線があるとは言え、1999年(平成11年)まで鹿瀬洞が現役だったことには驚かされます。
その上、2007年頃まで封鎖されていなかった *1 とか。
流石トンネル王国和歌山県...

*1 よとと様 鹿瀬洞
nagajis様 鹿瀬洞
サル、ゴリラ、チンパンジー
新鹿ヶ瀬トンネルを抜け、坂を下ると、
左手に鹿瀬洞へ続く旧道が現れますので、
そちらへよろよろと吸い込まれていきます。

(探索当時は新トンネルのすぐ横に、
広川町方と同じ様に旧道分岐があると思っていたので、
少し焦りました^^;)
数年前まで現役だったからか、路面の状態は良好で、
広川町方の様に水たまりも、バリケードもありません。
写真では分かり難いですが、現道よりもかなり高い位置を旧道が通っています。
鹿瀬洞日高町方坑口が見えてきました!!!
日高町方は日当たりが良いからか、全体的に鬱蒼としていて、
ここからではアーチより上部は確認できません。

そこで接近を試みようとしたところ、緊急事態が。
どうやら野生のサルと思われる動物が坑口付近の木にいる様で、
ヘタレな自分は容易に近づくことが出来ません...
折角此処まで来たのですから、せめて内部の確認を...!
と思い、ぼたんを逃走方向に向け、坑口に何とか接近。
アーチより下部の装飾は、広川町方と同じ様です。
うーん。やはり扁額は確認できません。
フェンスの隙間から洞内を覗き込みます。
広川町方とは違い、煉瓦のアーチが続いています。素晴らしい!!
オール煉瓦のアーチと側壁。
もっと観察したいのですが、現在その様な状況になく...
残念ながら撤退です...
損傷も僅かで、見事な煉瓦アーチを持つ鹿瀬洞も、
廃隧道となった今は、人々の記憶から消えつつあるのでしょうか...


「???」に続きます。
所在地
鹿瀬洞の位置は以下の通りです。
*正確な位置ではありません。あくまで目安です。
マピオン: 和歌山県日高郡日高町原谷の地図(33.96725999112807,135.1767171844279,1/1500)
Google マップ: 33.970605, 135.173957

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参考文献
よとと様 鹿瀬洞
nagajis様 鹿瀬洞
由良町史編集委員会 由良町史 通史編 下巻
御坊市史編さん委員会 御坊市史 第二巻 通史編Ⅱ
小池組様 KOIKEGUMI HOMEPAGE
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