ささやななえ『生霊』(ASUKA、1986年、あすかコミックス版全1巻)

生霊

初版	昭和63年8月17日

収録作品初出:

生霊	ASUKA	1986年 9月号、11月号
鉄輪	ASUKA	1987年 10月号、11月号

<ストーリー>

″生霊″とは、生きている人の怨霊のことをいう…。
高校生の良二は、倉本真理子とは公認の仲。しかし、クラスメートの根暗な浅茅優子をかばった時から、つきまとわれて迷惑をしている。そんな時、真理子が良二の家から帰る途中、事故死してしまった。「鉄輪」も収録した、オカルト・サスペンス傑作編!!

生霊
いきすだまと読みます。
ささやななえこ(旧・ささやななえ)先生の代表作のひとつ。
女子高生の嫉妬、執念が生霊となって…
~~妙な艶かしさも良いですよね。~~

鉄輪
かなわと読みます。
丑の刻参りで頭に被る五徳のことです。
主人公・水沢みどりはごくごく普通の女子高生。
ひそかに嵯峨和樹のことを想っているものの、彼にはいとこで家が隣同士だと言う橋本ちえ子がいます。
ある日、思い人を振り向かせることが出来るとの噂を聞き、強く念じた明くる日から、二人の距離は急に縮まっていきます。
失意の橋本さんはあてつけに飛び降り自殺をしました。
その日から毎晩、嵯峨くんの家に死んだはずの橋本さんが現れて、「あけて…ここをあけて…」と窓をたたいて…
と言うのが前編のお話で、後編からの目を離せぬ怒涛の展開(下手な煽り)が始まります。
表題作では、テーマであった嫉妬・執念の根源は浅茅優子であると明示されていました。
しかし、本作では終盤にどんでん返しがあり、読後も「怖さ」が強く残ります。