21 6月

山本優子『あの娘はダイナマイト』(りぼん、1973年、りぼんマスコットコミックス版全1巻)

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あの娘はダイナマイト
(RMC-48)

初版 1973年7月10日
第7版 1975年7月10日

収録作品初出:

あの娘はダイナマイト 1973年 りぼん 1月号~4月号
金魚ちゃんの恋 1972年 りぼん 8月号
パチンコでデイト 1969年 りぼん 夏の大増刊号

作品かいせつ:

「あの娘はダイナマイト」昭和48年りぼん1~4月号掲載の大人気連載。「金魚ちゃんの恋」47年りぼん8月号。こういう作品もかけるのと読者を驚かせた作品。「パチンコでデイト」44年夏の大増刊。一時は断念したまんが家を再びめざそうと決心した記念作。

  


あの娘はダイナマイト
南若葉は可愛い転校生ですが、根っからのパンダ好きで、もはやパンダ狂い。パンダ研究会を立ち上げるものの、誰も相手にしてくれません。
今回のハンサムさん、葵隼人は白バラ高校のプリンス。妖艶な謎の高校生歌手・山本リンゼイに夢中。若葉をダイナマイトみたいだとからかってばかりいます。
そんな二人のあいだに、葵のガールフレンドで美容研究会を主宰する池原美玲が立ちはだかります。
パンダの着ぐるみを着て動物園に忍び込んだ若葉に対し、本物なら垂れ流しをするはずだと詰め寄られ、出ろ出ろと気張るシーンは少女漫画史上屈指の迷シーン。
お酒を飲むと途端に色っぽくなる若葉と謎のお色気高校生歌手山本リンゼイの関係は!?(下手なあおり)
梵鐘の中で手足を突っ張って隠れたり、柔道大会に出たり、傷薬と間違って養毛クリームを塗ってヒゲを生やしたり、そのヒゲがバスに引っ掛かって引き摺られたりと連発するギャグの合間に、申し訳程度の恋愛シーンが挿入されます。
#その直後に肥溜めに手を突っ込んだりして台無しになりますけれども…

金魚ちゃんの恋
ギャグ一切なしの感動作。
「こういう作品もかけるのと読者を驚かせた作品」とはえらい言われようですね–;
純は母親の知り合いの娘・ミーナを祭りに案内するよう頼まれやって来たものの、女の子と歩くのは少し恥ずかしいお年頃。はじめは手さえつなげません。
ところが、先へ先へと進んだために、ミーナとはぐれてしまいます。
集団に囲まれ、あいの子だと貶され罵られているミーナを見つけ出した純は、持ち前のあばれん坊気質を発揮して、いじめっ子たちを追い返します。
涙を浮かべ震えるミーナに、恥ずかしがりながらもそっと手を差し出し、二人は手をつなぎながら雑踏の中へ…
今まで入院していたミーナは、時間を取り戻すかのようにお祭りを楽しんでいます。
二人は金魚すくいに挑戦。ミーナはあと少しのところで破れてしまいました。
すっと自分のすくった金魚を差し出す純。
この金魚ちゃん、小さくて目がぱっちりしていて、ミーナちゃんにそっくりだろ?となかなかおしゃれなことを言います。
お面遊びやねずみ花火等々、お祭りを満喫する二人。
またもやはぐれた純は、茂みの中でキスをするカップルをこっそりうかがうミーナを発見。
純は恥ずかしがり真っ赤になって止めますが、ミーナは大人になったらあんな恋が出来るかしらと夢見心地。
ふと手元を見ると、純にもらった金魚が死んでいます。
大泣きのミーナを、明日他の金魚を買ってやるからとなだめます。
金魚だけではなく可愛がられていた動物はみな死んだらホタルになると言う純は、ミーナをホタル飛び交う秘密の水辺に案内。
金魚のお墓をこしらえ、可愛いホタルになってねと祈る二人の前を、一匹の綺麗なホタルが飛んでゆきます。
ロマンチックな雰囲気に二人は唇を重ね、しばし甘美なひととき…
「ミーナも死んだらホタルになれるかしら。」
「なれるさ。ミーナちゃんのホタルならきっときれいだろうな。」
疲れて眠ってしまったミーナを背負って送った純は、明日約束の金魚を持つまでくると言い、別れました。
翌朝ミーナにあげる金魚を持って来た純は、ミーナが今朝はやくに亡くなったことを知らされます。
もう短い命だと告げられていたミーナに、せめて一度だけでも大好きなお祭りを見せたくて、ミーナの母親は案内を頼んだのです。
「お……大人は……ひどい!」
「ぼくにだって、ぼくにだって……心が…あるんだ!」
放心状態で歩く純に通りすがりのおじさんが声をかけます。
「ぼうず、そんなにゆらしてるから、金魚ちゃんが泣いてるよ。」
「金魚ちゃんが、泣いてる……」
「泣いてる……金魚ちゃんが泣いて…」
純は思わず号泣して走り出した…
  

パチンコでデイト
静香はボーイフレンドの清志と授業中に手紙を交換しています。
内容は…新しく開店したパチンコ屋について。
放課後早々にパチンコ屋へ直行する二人。
調子が良いらしく一杯になったドル箱を携え交換所へ行き、静香はハイライト、清志はチョコ菓子に交換。
静香はさらにこれを父に売りつけ現金を得るのに対し、清志はチョコ中毒と揶揄される程のチョコ好きで自分で消費します。
お互いの景品をからかい合う二人は幼なじみで、パチンコを通してさらにその絆は深まりました。
ところがある日の授業中、静香は同じようにパチンコについての手紙を渡しますが、どうも清志の様子がおかしいのです。
待ち合わせのパチンコ屋にも来ず、不審に思った静香が様子を探ってみると、美しい外国人講師・マキからデレデレしながら箏曲を習っているではありませんか。
あんなチンチラした舶来の虫がついたのねと怒りに震える静香は、翌日講習生となり、二人の間に割って入ろうとします。
しかし、清志とマキは静香を除け者にし、二人の世界に閉じこもって仲睦まじくいちゃいちゃ…
とうとう我慢できなくなった静香はマキに果たし状を叩きつけ、自らが得意なパチンコで勝負を挑みます。
しかし結果は惨敗。
ところがパチンコにはまってしまったマキは清志のことさえ眼中になく、邪魔だと蹴り飛ばす始末。
静香と清志は仲直りし、パチンコは不良のするもの、日本女性はしとやかにと箏を奏でる二人に対し、パチンコ台の前でアイ・ラブ・パチンコと叫ぶマキ…と言うオチ。
「一時は断念したまんが家を再びめざそうと決心した記念作。」とあり、ギャグ路線へ進む大きな転機となった作品なのかもしれません。

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