18 1月

神坂智子『パンと懐剣』(花とゆめ、1977年~1978年、花とゆめコミックス版全6巻)

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パンと懐剣 1巻
(HC-115)
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<詳細情報>

初版 1978年3月20日

収録作品初出:

パンと懐剣① 花とゆめ 1977年 22号~24号、1978年 1号~2号

作品かいせつ:

時は明治、新政府の土台もようやく固まり、雪深い越後長岡にも新しい時代の波が打ち寄せていた。官軍と戦って破れた国家老を父に持つ弥生は、武士の娘らしく育てられる一方、文明開化に柔軟に反応する。パン(西欧)と懐剣(日本)の接点に生きた大和撫子を描く大河ロマン第一巻。

  

パンと懐剣 2巻
(HC-120)
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<詳細情報>

初版 1978年5月20日

収録作品初出:

パンと懐剣② 花とゆめ 1978年 3号~8号

作品かいせつ:

旧長岡藩の国家老の家に生まれた弥生は、武士の娘の矜を持ちながら、明治新政府のもと、押し寄せる時代の波――文明開化の源流に向かって出発する。その第一歩は憧れの東京。英語学校の生活が始まる。「パン(西欧)と懐剣(日本)」の接点に生きた大和撫子を描く大河ロマン第二巻。

  

パンと懐剣 3巻
(HC-132)
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<詳細情報>

初版 1978年9月20日

収録作品初出:

パンと懐剣③ 花とゆめ 1978年 9号、11号~16号

作品かいせつ:

越後長岡藩の国家老に生まれた弥生は、文明開化が合言葉となった明治初期の東京での生活をはじめる。個個の分子が激しくぶつかりあい火花を散らす混沌の渦にもまれながら、弥生はもちまえの明るさで難問をのりきり、今また新天地亜米利加へ旅立とうとする。

  

パンと懐剣 4巻
(HC-141)
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<詳細情報>

初版 1978年12月20日

収録作品初出:

パンと懐剣④ 花とゆめ 1978年 16号~22号

作品かいせつ:

まだ見ぬ夫、まだ見ぬ異国に胸を躍らせて弥生はアメリカに渡った。だが、夫文四郎はパトロン持ちの貧乏画家で、夫婦の名乗りもあげられない苦しい生活、しかも肺を病んでいる。途方にくれる弥生に、父の形見の懐剣は武士の娘らしく胸を張って生きよと語りかけるが……。

  

パンと懐剣 5巻
(HC-156)
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<詳細情報>

初版 1979年5月20日

収録作品初出:

パンと懐剣⑤ 花とゆめ 1978年 22号~24号、1979年 2号~5号

作品かいせつ:

明治中期、同じ英語学校に学んだ二人の日本女性がアメリカに渡った。二人は数奇な運命をたどりながら、見えない糸にたぐられるように、シスコの女性救済施設に身を寄せることとなった。日本人排斥運動の高まる中で、今は互に子持ちの母として、苛酷な試練に立ち向かった。

  

パンと懐剣 6巻
(HC-163)
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<詳細情報>

初版 1979年7月20日

収録作品初出:

パンと懐剣⑥ 花とゆめ 1978年 5号~11号

作品かいせつ:

数奇な運命をたどり、シスコの女性救済施設に身を寄せた弥生は、日本人排斥気運の高まりに抗して、東洋人学校の創立に立ちあがった。西欧と日本のはざまで、力強く生きた明治女性の自立への軌跡をあざやかに描く大河ロマン、神坂智子の「パンと懐剣」最終巻である。

  


神坂智子先生初の1000ページ超えの長編漫画です。着物の書き込みは見事としか言いようがありません。
ベースとなったのはEtsu Inagaki Sugimoto『A Daughter of the Samurai』(杉本鉞子『武士の娘』)です。中表紙に「原作者・だてひろし」とあります。

文明開化を迎え、時は明治。
越後長岡藩の国家老を父に持つ主人公・檜垣弥生は、「武士の娘」として厳しく育てられ(つつも当の本人はかなりのおてんば)ました。
そんな弥生が七歳なり舞い込んだのは、縁談。お相手はなんと亜米利加在住の日本人・松原文四郎で、貿易商をしていると言います。
遠い異国に住む、会ったこともない婚約者…のヘンな顔したお見合い写真に笑う弥生。
しかし「武士の娘らしく生きるように」という言葉と形見の懐剣を弥生に残し、父が亡くなってしまいます。
かなしみに暮れる弥生でしたが、勘当状態で亜米利加に滞在していた兄・格太郎が持って帰ってきた珍しい品々や話を聞き、異国の地への憧憬がいっそう強くなりました。
時が経ち、弥生のもとへ文四郎から渡米の誘いがあり、まずは語学の勉強をと乳母・しのと共に上京します。
この時、幼なじみの直介が弥生の上京を止めようとしますが、かえって不幸な別れとなってしまいました。
東京に来たものの、頼る人がおらず途方に暮れていた弥生たちですが、偶然に貿易商・山之内洋造と知り合い、洋造の息子・薫の通う英語学校・聖モーリス学校に入学することになりました。
しかし学校では貴族組と平民組がいがみあっている上、授業はさっぱり…な弥生でしたが、会津武士の娘のお銀と出会い、勉学を教わります。
お銀は貧しい家庭を支え、新聞記者になる夢を持っているしっかりものです。薫はそんなお銀を慕っています。
意地悪貴族の綾小路美華子に前々から苛められて弥生ですが、仲良くなった近衛師団・渡瀬茂希が美華子のいとこであり思い人だったために、さらに苛めはエスカレート。まだ英語が上手くない弥生を劇の主役にし、恥をかかせようとします。
お銀とのコンビで機転を利かせ切り抜けた弥生でしたが、その時お銀は親によって身売りされ、亜米利加へ行くことになっていたのでした。
阻止しようと奔走する弥生や薫たちの努力虚しく、お銀は行ってしまいます。
弥生を追って上京した直介からまたも求愛を受けますが、断わる弥生。直介は定職に就けずスリを働いていると知り、弥生の悩みは増えるばかりです。
一方で、鹿鳴館に招待された弥生と茂希は仲が深まり、茂希から求婚されます。
一時は受け入れた弥生でしたが、茂希に文四郎の面影を見ているのだと自覚し、求婚を断わり文四郎へ手紙を送ります。
サンフランシスコに来て欲しいとの返信を受けた弥生は帰郷し、花婿がいない中結婚式を挙げ、単身で渡米します。
サンフランシスコに到着した弥生を迎えたのは文四郎の友人・ヘンリーでした。
彼に連れられ文四郎の下宿先へ行った弥生は、文四郎が貿易商ではなく貧しい画学生(しかも病弱)で、ヘンリーの父・グラーシャ氏の援助をうけていることを知ります。援助をうけている手前、文四郎は弥生を妹として紹介しなければなりませんでした。
夢にまで見た亜米利加での生活…夫・文四郎は優しいものの、日本人が白人社会の中で疎外されていることを身をもって知ります。
それらの苦難を持ち前の明るさで乗り越えてきた弥生でしたが、文四郎が突然喀血、倒れてしまいます。
弥生は文四郎と共にグラーシャ家に移り看病に専念します。健気に、直向きに看病する弥生にヘンリーは惹かれてゆきます。
容態が悪化する一方の文四郎は、残る全ての力を出し切り、一つの絵画”弥生”を完成させ事切れます。
悲しみの中、弥生のもとに女の子・花野が生まれます。花野はグラーシャ家の人々に愛されすくすく育ちました。
しかし、ヘンリーの自分への愛に気付き、またグラーシャ家への甘えを恥じ、弥生は花野と共にグラーシャ家を去ります。
この頃、弥生は自分をモデルにしたような記事を見つけ、記事を執筆した影山にお銀のことを聞きますが、知らないと言われてしまいます。しかしどうやら何か関係がある様子です。
偶然辿り着いたシアトルで、弥生は娼館にいたお銀と再会します。
セツルメントに行くというお銀に着いていった弥生。そこで青い瞳の少年・かおるに出会います。彼はお銀の子供だと言います。
無法状態だったセツルメントは二人で奮闘の末生まれ変わり、また美術館が文四郎の遺作を収蔵することになる等幸せな日々が続きました。
ところが、花野とかおるが通い始めた学校で白人から差別を受け、果てには日本人のこども全員が退学となってしまいました。
弥生は大人社会と同じく疎外される東洋人のこどもたちのための学校を作ることを決心します。
寄付も署名も周囲の人々の協力もあって徐々に集まりますが、市は学校の設置を許可してくれません。
直談判をと会いにいった市長はなんと文四郎の遺作”弥生”のファンで、モデルの弥生であると一目見て分かった市長は設置へ向けて働きかけると約束してくれます。
設置の目処が立ち、協力してくれたヘンリーとの関係も考え、花野と日本へ戻ると決心します。
そこに薫が現れ、お銀は困惑しますが、影山と生きていくと心を固めました。
かおるは自分がお銀の子供でないこと、また”かおる”が特別な名前であることを知り、自分は何であるか、自分探しの旅のため弥生たちと日本へ行くことになります。
弥生、花野、薫、かおるが日本へと辿り着くと、弥生は盛大な歓迎を受け、記者に取り囲まれます。
弥生の海の向こうでの活躍は日本でも大々的に取り上げられていたのです。
かおるは薫に引き取られることになり、弥生と花野は郷里・長岡へと帰っていきました。

1/4スペースに、連載時NHK-FMで『武士の娘』が朗読されたとあります。
#弥生が亜米利加に行ってすらないのに、後の展開が分かってしまう、とも。(しかも再放送されたとか。)
##さらに余談、↑のことが描かれた1/スペースには種本について、「筑摩書房・杉本鉞箸」とあります…
当時筑摩書房版翻訳本は絶版だったはずですが、何か注目される出来事があったのでしょうか。

『パンと懐剣』は現在も復刻されていません。
神坂智子先生は2001年のインタビューで名前を挙げていることから、無かったことにしている作品ではないはずなのですが…

  


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神坂智子 『パンと懐剣』 1巻 – 蒐集匣


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神坂智子 『パンと懐剣』 2巻 – 蒐集匣


HC_132_mini_s
神坂智子 『パンと懐剣』 3巻 – 蒐集匣


HC_141_mini_s
神坂智子 『パンと懐剣』 4巻 – 蒐集匣


HC_156_mini_s
神坂智子 『パンと懐剣』 5巻 – 蒐集匣


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神坂智子 『パンと懐剣』 6巻 – 蒐集匣


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神坂智子 『パンと懐剣』 全6巻 花とゆめコミックス リスト – 蒐集匣

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2 thoughts on “神坂智子『パンと懐剣』(花とゆめ、1977年~1978年、花とゆめコミックス版全6巻)

  1. 連載当時は、友達から掲載誌を借りて読んでいました。大好きな作品です。私が今まで頑張れたのは、弥生とベルばらのオスカルに笑われ無いように生きる事を目標にしてきたからです。

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